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<living x unity>
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散歩
大荒れの天気の後の清々しい秋晴のなか、散歩(というか単にタバコ買いに行っただけなのだが)の途中、川沿いの道を歩いていると、川面にカワセミを見かけた。宝石のように輝く青とオレンジを見せて、すぐに飛んでいってしまったので、一瞬のことだった。カワセミを見るのは久しぶりだ。嬉しくなる。すこし行くと今度は白鷺がいて、こちらは珍しくもなく、優美な、まさに小首かしげて、どことなく洒落のめしたような曲線を見せている。道路には直径3、40センチくらいの太いホースが長々と横たわっていて、その先、細い坂の上がり口の横に広がる古いボロボロの日本家屋を一掃した土地で新築の基礎工事中、大きな生コンミキサー車からコンクリートが流れてくるのを数人の職人さんたちが待機していた。

新築といえばわが家(オンボロ借家)のまわりも、いまはちょっと落ち着いたものの、4年くらいまえから何の誇張もなしに文字どおり猛烈な新築ラッシュだった。
広いお屋敷が取り壊され、木々が伐採されて、そこにそんなに詰めなくともいいだろうというほど寿司詰めに何軒分もの分譲が行われるいまどきの典型的なスタイルだ。そのスタイルがあっちでこっちで始まって、ひさしぶりに来た人が様変わりに迷子になりそうだったというほどの。
春夏秋冬、年をまたいで朝から晩まであちらからこちらからガーガーガーガー工事の音、出入りのダンプの音がひっきりなしクソ喧しいことこのうえなく、だいたいウィークデイの昼間に家に籠もって仕事している、あまつさえ絵を描いてる男なんてのは一般社会通念のアウトオブ範疇、それこそマイノリティの極みであるうえ、どこに苦情のもっていきようもなく、しかしながら、そのピカピカの新築住宅に越して来る人々としては、いまをときめくここ「湘南/葉山スタイル」のブランド感たっぷりの「閑静」がお望みで来るわけなのだろうから、まったく世の中、皮肉なものだと思う。

世事萬事にわたっての、栄光やら、利便やら、安全やらの光の眩しさに、つい見えぬ日陰の、路傍の、必ずやそこにある忍従と寛容を、そこにある宝石の輝きをこそ知る想像力を持とうではないか、と、むしろ我が身に言い聞かせるかたちで、この”4次元”の片隅にそっと記しておこうと思う。「ほんとに自分のことしか考えてないね」と私もよく言われるのだし。
| 日記 | 22:27 | comments(0) | trackbacks(0) |